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中井竜佑|自分らしく積極的にチャレンジしたい

いわた

中井 竜佑 -Ryusuke Nakai-

1冊の本と出会ったことが人生の転機だった

前職は飲料業界で会社員をしていました。空港に入店しているテナント企業に自社製品を扱ってもらえるよう交渉したり、注文を受けた商品を納品するといった仕事でしたね。

最初に農業に興味を持ったのは2009年ごろで、中国産食品の安全性や、産地偽装、賞味期限偽装などが次々とメディアで騒がれていて、ちょうど子供が生まれたこともあって自然と食の安全を考える機会が多くなりました。

世界情勢も不安定でしたし、自分の手で安全で美味しい野菜をつくることができるという農家の強みに魅力を感じて、地元で開催された就農相談会に参加してみました。

ただ、当時は自治体も今ほど就農に対して積極的ではなく、助成制度などもほとんどなかったこともあって、相談員の方に「そのまま会社員を続けておいた方がいいのでは」というアドバイスをされて帰ってきました。

そのまま会社員を続けながらも、心のどこかで農業に対する思いは失われず、空いた時間に農業に関する本を読んでいたりしたんですが、その中で『農で起業する!脱サラ農業のススメ』という1冊の本と出会ったことが大きな転機でした。

実際にサラリーマンを辞めてぶどう農家になった方が著者なんですが、この本に刺激を受けてぶどう農家になろう!と決心しましたね。

2014年ごろに改めて就農活動に取り組み、まずは家族のこともあったので地元である大阪府での就農を考えましたが、十分な研修制度が整っていなかったり、農地確保に想定以上の費用が必要だとわかったため断念。

そこで移住も視野に入れて、どうせやるならと、ぶどうの名産地である岡山県と長野県を候補に動きました。妻も協力してくれて、自分の仕事中に電話で各市町村に問い合わせをしてくれたりして凄くありがたかったですね。

最終的に須坂市での就農を決意したのは、他の自治体よりも親切な対応をしてもらえたことや、自分と同じように他県からの新規就農者が多く、受け入れ体制が整っていると感じたことなどでした。

いろいろとタイミングが合わず、就農を決意してから研修を開始するまで1年以上も間隔が開いてしまったりしたんですが、今は須坂市を選んで良かったと感じていますよ。

この『きじまるクラブ』でも多くの方々と出会うことができて、相談に乗ってもらったり、わからないことを教えてもらったりして、右も左もわからない自分にとってはありがたいことだらけでした。

実際にサラリーマンを辞めてぶどう農家になった方が書いた本。サラリーマン時代の知識や経験を活かして農業に励む。就農計画段階から実際の経営を軌道に乗せるまで、体験談を交えて具体的に解説。オススメです。

子どもたちにぶどう農家を継いでもらえるように

独立して2年が経ち、今年で3年目を迎えます。

就農1年目は余裕もなく、セオリー通りの栽培で精一杯でしたが、周囲の方々に協力してもらえたり、天候にも恵まれて、自分なりに満足できる1年でした。

2年目は少し余裕も生まれ、自分のこだわりなどを取り入れて様々なことにチャレンジしましたが、長雨や日照不足など天候不順の影響も大きく、なかなか質の良いぶどうをつくることができず厳しい1年となりました。

ただ、早いうちに苦い経験ができたことは良かったと前向きに捉えていますし、何とか乗り越えることができたので、ぶどう農家としてのレベルも上がったような気がします。

今後は天候に左右されずに安定して栽培できる技術を身に付けて、「うまいくだものコンクール」で入賞できるようになりたいですね。

経営についてはまだ模索している部分もありますが、ネット販売や直売所にも興味がありますし、自分らしく積極的に設備投資しながらチャレンジして、お客さんに笑顔になってもらえるぶどうをつくり続けたいです。

あとは、子供たちが「中井ぶどう畑」の2代目として就農し、一緒にやってくれるようになることが大きな目標ですね。

そのためにも自分が頑張らなければなりませんし、子供たちが後継ぎとなってくれたときに、やりたいと思うことにチャレンジできるような環境を整えてあげたいと考えています。

(取材時期:2020年1月)

これから就農を目指す方へ

自分が積極的に行動する性格をしているということもありますが、考える時間が長すぎると動けなくなってしまうと思うので、家族の理解が得られれば思い切って飛び込んでしまうのもひとつの手だと思います。
一度やってみたいと思った自分の気持ちに正直になるべきですし、その後に使える時間を考えれば、少しでも早く行動した方が有利だと思いますよ。

中井ぶどう畑

就農2年目に農園のパンフレットを作成した。
これからはインターネットでの販売にも力を入れて、少しでも多くの方に「信濃国 中井ぶどう畑」を知ってもらって、さらにファンになってもらえるように積極的に励んで行きたい。

中井 竜佑(なかい りゅうすけ)

1980年生まれ。大阪府岸和田市出身。
1冊の本に出会ったことが人生の転機となり、ぶどう農家になると決心。妻、娘、息子の4人で大阪府岸和田市より移住。2年間の研修を経て2018年に「信濃国 中井ぶどう畑」を開業した。

信濃国 中井ぶどう畑


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