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持田幸子|子どもたちを中心に考えたら農家は最適だった

いわた

持田 幸子 -Sachiko Mochida-

近くて遠い存在だった農業

出身は地元の須坂市です。

周囲のりんご畑を見ながら育ちましたが、実家はサラリーマン家庭で、親しい友人にも農業従事者はいなかったので、農業は近くて遠い存在でしたね。

研修を始めるまでは小布施町の共選所で働いていて、りんごの出荷作業をしていましたが、仕事内容に興味があったわけではないんです。

もともと母が勤めていたので、仕事を探していたときに紹介してもらったんですが、小さい子どもがいるので、休みの融通が利きやすいという点が魅力でした。

何年か勤めていて、生産者の高齢化が気になっていたりはしましたが、そこで農業に興味を持つことはありませんでしたね。

農家になろうと思うきっかけになったのは、自宅近くの直売所で販売員として働くことになったことです。

母の知人経由で紹介してもらって働くことになったんですが、それまで「農業=りんご」のイメージだったので、店頭に並んでいるぶどうの種類の多さに驚きました。

また、働き始めてから知ったんですが、直売所の経営者は須坂市や小布施町を中心としたベテラン農家グループの中心的な存在で、この方との出会いが始まりでしたね。

直売所のシーズンが終わったあとも、誘われてぶどう棚を建てる仕事をやったりしていましたが、ある日、ぶどう農家として独立を目指してみないかと誘われたんです。

長野県の制度(新規就農里親研修制度)で自分が受け入れるから、2年間の研修を受けてみないかということで、誘ってもらえたことは嬉しいし、環境としても申し分なかったですが、やはり不安もありました。

そこで、共選所で知り合ったJAの営農技術員に「自分でもできるだろうか」と相談したら、前向きなアドバイスをもらえたので、そこから具体的に考えるようになりましたね。

ただ、自分なりに確認はしたかったので、まずはパートとして手伝わせてもらったうえで判断することにしました。

ぶどう栽培はもちろん初めての経験でしたが、屋外での仕事は気持ちいいし、同じ作業を延々とやることも苦にならなかったので、これなら私にもできるかもしれないと、意を決して研修を受けることにしたんです。

子どもたちとの時間を大切にしたい

子どもは3人いて、3姉妹です。

夫は別の仕事をしていますが、これからの子育て費用などを考えて、私もしっかり働きたいと思っても、なかなか条件に合う仕事が見つかりません。

子育てをしている方ならわかると思いますが、子どもは急に熱を出したりしますし、それが3人重なったりすると大変なんですよね。

でも、自分が経営者となる農家なら、誰にも気兼ねなく自分の都合を優先できますし、子どもたちを畑に連れてくることもできるので、一緒に過ごす時間を多く取れるというのは、親にとっても子にとっても大きいですよね。

子育てのためには、家でゲームをしているよりも外で遊んでいる方がいいと思いますし、そういったメリットもあると感じています。

子どもを持つ女性がひとりで農業をやると伝えると、大体は「ご主人は?」「本当にできる?」「甘くないよ?」と否定的な意見が並ぶんですが、個人的にはそれが悔しくて。

決して楽な世界ではないでしょうし、母や周囲の協力も必要ですが、自分が成功することで、世の中の働くママたちに「農家」という選択肢を作れたらいいと考えています。

そのためにも、まずは研修期間中にしっかり知識と経験を身に付けて、頑張らなければなりませんね。

あと、夫はクレープの移動販売をしているので、自分がつくったシャインマスカットのクレープをメニューに加えてもらったり、クレープの隣で子どもたちと一緒にぶどうを売ったりと、いつか家族で連携できたら面白いですよね。

(取材時期:2020年2月)

これから就農を目指す方へ

子育てを中心に考えた場合には、農業は最適な仕事だと思います。これは夫婦で就農する場合も同じことですし、ひとり親の方にとってもいろいろとメリットがあるのではないかと思います。
決して平坦な道のりではないかもしれませんが、ともに頑張りましょう。

子どもたちが好きなだけ走り回って笑い声が絶えない。
仕事場であるとともに、子どもたちの遊び場であり、親子交流の場でもある。そんな理想的なぶどう畑を目指して母は頑張っていく。

持田 幸子(もちだ さちこ)

1979年生まれ。長野県須坂市出身。
農業とは無縁の生活を送っていたが、直売所で働いたことが転機となり農業を志すことに。
3人の子育てをしながらぶどう農家として成功することで、働くママたちにメッセージと勇気を届けたい。
2021年4月に「幸寿農園」として独立。ぶどうとりんごを栽培している。

幸寿農園


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